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2026/10/09

映画『遥かな町へ』公開記念インタビュー:錦織良成監督と橋本マナミさんが語る、鳥取・倉吉の魅力と撮影秘話

10月9日の映画『遥かな町へ』の公開を控え、錦織良成監督と、中原優子役を演じた橋本マナミさんにお話を伺いました。

今回のインタビューの舞台となったのは、鳥取県米子市をルーツに持ち、都内で食を通じた鳥取の魅力を発信しているお店「稲田屋」。鳥取県倉吉市を舞台にし、また同市がメインロケ地となっている映画『遥かな町へ』の公開に合わせて用意された限定ランチ『遥かな町へ御膳』を囲みながら、映画の見どころや鳥取の豊かな食と風景について、たっぷり語っていただきました。

■鳥取の恵み。絶品コラボランチに舌鼓

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【お品書きのご紹介】
メインには鳥取県の食材や山陰地方の郷土料理を集めた御膳をご用意。日替わりの地のもののほか、豆腐ちくわ、あごの焼き、もずくなどを定番として使用。カニクリームコロッケに使われているベニズワイガニは産地直送の境港産。お米は鳥取県オリジナルブランド米「星空舞」、飾りとして添えられた稲穂も乾燥後に油で揚げているのでポップコーンのように食べられます。もずくは御来屋地方(みくりやちほう)から仕入れた希少なもの。「稲田屋」は酒蔵が母体であるため、地酒に合う食材が厳選されています。

― 食べてみた感想を教えてください。

錦織) 食材が全部新鮮ですね。これは鳥取ならではだと思います。東京でこの新鮮な鳥取県産のものが食べられるのはうれしいです。「星空舞」もおいしいですね。

橋本) すごい新鮮で、食材自体がおいしいので、自然な味付けで素材の味がすごく楽しめますね。

錦織) 大山の豊かな水資源は酪農とも相性がよく、肉や乳製品を生産する基盤になっています。鳥取は海にも近いので美味しい魚介類も豊富で、肉と魚のどちらも楽しめるのが特徴です。

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― 橋本さんは、豆腐ちくわは初めてだと思いますが、食べた感想はいかがですか。

橋本) クリーミーな甘みを感じます。豆腐を混ぜて作っているのでヘルシーですね。

― 東京で鳥取の食材を味わえるということに関していかがですか。

橋本) 東京にいると鳥取の料理に触れ合う機会がなかなかないので、稲田屋に来ると、鳥取の料理が楽しめるのは嬉しいですし、今なら映画コラボのランチが食べられるので足を運びたくなりますね。それに鳥取を身近に感じることができるので、友達や家族と一緒に来たくなります。

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錦織) 僕は島根出身ですけど、山陰地方には東京の人には知られていないだけでいいものがたくさんあります。水がうまいということはすべてに通じていて、何でもおいしい。でも全国の人がそれに気付いて山陰地方の食材が有名になってしまったら地元の人が食べられなくなってしまう(笑)。

■東京では味わえない美味しさ。鳥取のフルーツと食の魅力
― 鳥取県は「食パラダイス鳥取県」としてPRしていますが、映画撮影の期間、味わった食材・料理や思い出の食事はありますか。

錦織) 地元産の魚や肉が全部おいしかったです。梨、ぶどう、すいか、メロン、シャインマスカットもおいしかった。フルーツがおいしいということも、やはり水がいいからです。

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― 鳥取には独自の「牛骨ラーメン」というラーメンがあります。橋本さんも今度鳥取に行ったら食べてみてください。

橋本) 今度行ってみます。

― 橋本さんは撮影期間、鳥取の食材で気になったものはありましたか。

橋本) 撮影中、八百屋があって梨を買いに行ったんですが、東京では見ない梨の種類が豊富にあって印象的でした。「新甘泉(しんかんせん)」という梨を東京に送ったら、相手から「おいしいからすぐなくなってしまった」と言われました。

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■タイムスリップしたような倉吉の魅力
(ここで話題は映画の撮影の話へ)

― この『遥かな町へ』は倉吉を舞台にしています。1ヶ月半撮影されて、倉吉の風景や街並みにどういう印象を持たれましたか。

橋本) 風情があって本当にタイムスリップしたかのような感じの街並みでした。時の流れが止まったように感じるくらいゆったりした気持ちになって癒やされました。どこで写真を撮っても「映え」るくらい素敵な風景ばかりで、こんな場所が近くにあればいいなと思うくらいです。

錦織) 人が住んだままあの街並みが残っていることに驚きますよね。観光客でいっぱいの“観光地化”していないというのが魅力だとも思います。観光客が多く押し寄せてきてしまうと、風情が無くなってしまう。

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橋本) 鳥取の人からしたら、もっと観光客に来てほしいんじゃないんですか。

錦織) 観光客が押し寄せてしまうと、住んでいる人からしたら微妙な問題ですよね。フランスのモンマルトル通りのような、昔のままの生活を楽しむ人が増えればいいなと思います。高野山とか観光客が多く来すぎてしまって規制しようという話になっていますが、大事に風情を守りながら楽しくやっていくという考え方が日本人の美徳だと思います。そうすれば観光と街並みの保全が両立するはずです。でも、もっと観光客が来てもいいくらい倉吉はいいところなのに、まだ全国的に知られていないんですよね。

橋本) アピールしていないんですか。

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錦織) しているんですけど、これから大事になっていくのは、人の意見に左右されず、自分たちの目で見ていいと思ったものを評価していくということです。宣伝予算があったり、観光のインフラが整ったところが表に出やすいけど、倉吉には日本人の考えに合った風情を大事にした、見るべき街並みが残っています。海外の人たちは、そういうところを見つけるのがうまい。日本人は雑誌やWEBに載っていたとか、多くの人が行くところがいいと感じてしまいがちですが、観光客向けに作られた景色ではなく、土地そのものを楽しむ人が増えればいいと思います。

橋本) 滞在した旅館の「三朝荘」も良かったですよね。

錦織) 「温泉オンドル」がありましたね。滝藤賢一さんなんか毎日入っていましたよ(笑)。滝藤さんは出番が終わっても帰らないで、車で三徳山三佛寺の投入堂や鳥取砂丘あたりを観光されていました。

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■原作のままの風景と、倉吉から世界へ
― 撮影で実際に訪れた場所の中で、特に印象に残っている観光スポットやロケ地はどこですか。また、『行ってみたい鳥取の観光地』があれば教えてください。

錦織) 東郷湖のほとりにある「はわい温泉」は、ウォーターフロントとして改めてその魅力を実感しました。映画の中の白い船が出てくるシーンはそこで撮りました。映画撮影で長期滞在して、倉吉はもちろん、今回特にその周辺の琴浦、北栄、湯梨浜、三朝などは、温泉と海と湖に囲まれた自然豊かな環境であることに感動しました。

橋本) 鳥取砂丘に行ってみたいと思いましたけど、鳥取にはよく知られている観光地だけではなくて、いろいろいいところがあるんですね。

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錦織) 山陰全体で、出雲大社と鳥取砂丘しか目立っていない感じがするけど、実は鳥取砂丘の傍に「砂の美術館」があったり、島根には出雲大社よりも古い神社があったりするんです。でもみんな行こうとしない。

橋本) もったいないですよね。

錦織) それと倉吉の話でいうと、『遥かな町へ』という作品の中で谷口ジローさんが倉吉の街並みをきれいに描いているんですが、倉吉には漫画の世界がそのまま残っている。これはすごいことなんです。

橋本) 映画を見ても、漫画そのままの世界観が再現されているから、漫画ファンの方が見ても納得されると思います。

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錦織) CGを使わずにそのままの街並みでしたからね。

橋本) この映画を見て倉吉に行く方も多くなるでしょうね。

錦織) それから、倉吉のミタ写真館には出演者の戸田菜穂さん、滝藤さん、大谷亮介さん、橋本さん達が衣装のまま撮った写真が飾ってありますので、ぜひ見に行ってみてください。

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― この原作(谷口ジローさんの漫画)を映画化するにあたって、最も苦労された点や、『ここは絶対に描きたかった』『見てほしい』というところがあれば教えてください。

錦織) 長い原作を2時間にまとめるのに苦労しました。でも、映画は“画”で表現できるので、倉吉に原作通りの街並みが残っていたことで、70年代の原作の時代背景を知る人たちにも共感してもらえると思います。良いロケ地がなければセットを組んだりCGを使ったりしないといけないけど、倉吉ならそのままで良い画が撮れるだろういう自信がありました。地元の協力も大きく、市に協力してもらって、白壁土蔵群の道路をアスファルトから土に変えてもらったりもしました。そこは映画の見どころの一つです。

橋本) 映画のためにすごいですよね。

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錦織) 映画を見た人はぜひロケ地にも来てほしいです。原作者の谷口ジローさんの作品はフランスでも人気が高い。フランスの人からすると倉吉のような手付かずの“らしさ”が残っていることに感動するんですよ。日本の原風景が残る街並みが、海外の人たちの目には、特別なものとして映っているんです。もしかすると、倉吉は世界的な観光地になるかもしれません。

橋本) 作られていないホンモノの観光地としてですね。フランスで上映する機会はまだないんですか。

錦織) 100館以上のオファーが来ています。

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■皆さんへメッセージ
― 映画『遥かな町へ』は10月9日より全国公開です。最後に、公開を心待ちにしている皆様にメッセージをお願いします。

橋本) 初めて見る方も漫画ファンの方も満足できると思います。ストーリーの内容で考えさせられる部分もあるので、一人で見るのもいいけど、家族などみんなで見た後に映画の感想を話し合えば、もっと面白くなると思います。

錦織) 地元愛に満ちた方々と映画を作りましたが、だからといって決して地元ネタに終始する映画ではなくて、実はグローバルな話であり、世界中の家族の人たちに発信できる映画になったことに誇りを持っています。昭和38年の物語なんですけど、今の若いお父さんお母さんにも共感してもらえるようにつくりました。家族で見て考えるきっかけにしていただくなどして、楽しんでもらいたいです。

― 本日はありがとうございました。

撮影:廣瀬孔明