1980年生まれ。多摩美術大学卒業。初の長編作品『TRAIL』は2013年にユーロスペース(渋谷)をはじめ全国各地で上映され、独自の時間の切り取り方に注目が集まる。東京・立川でギャラリー・セプチマを運営。
『TRAIL』2012年制作/日本/100分 3人の作家が、創作活動中に出会った少女と過ごした日々。突然現れる森の掟。数年後にふたたび動き出しす時間とは―。
映画作家
gallery SEPTIMA代表
映画にすることで、消えてしまった歴史を立ち上がらせてみたい
映画『TRAIL』は、鳥取県中部、特に倉吉と三朝を中心に撮影しました。鳥取を舞台にすることで地元を盛り上げたい! という気はありません…(笑)。たとえば三朝町の小鹿渓に足を踏み入れたときに、自然の姿にすごく惹かれ、どう映画に切り取るかイメージがふくらんでいきました。撮りたいものを撮るなかで、鳥取ともつながっていったらいいなぁと思います。
最新作『断層紀』は、秋田県大館市で撮影しました。まったく知らない土地だったので、まずは地形や因習を民俗学の視点から徹底的に調べることから始めました。消えてしまった市民の暮らしや歴史を、映画にすることで立ち上がらせていく。それがすごく面白かった。鳥取にも教科書には載っていない歴史があるはずです。次回、鳥取で撮影するときは、そんな目には見えない部分をテーマに作品を作りたいと思います。
写真:上原朋也